あらすじ
※現在、プロローグ・第1章途中まで公開中です。
昼間の顔と、夜の顔。
朝倉 奏、二十四歳。営業二課の部下。上司の黒瀬 新一とは、朝から晩まで噛み合わない。細かい、融通が利かない、そのくせ言うことは大体正しいので反論もできない。
だが会社を出れば、奏には別の顔がある。
化粧をして、ウィッグを被り、ボイスチェンジャー越しに笑う配信者「叶」。
そして叶が何年も贔屓にしてきたのが、ハンドメイドアクセサリー作家「くろしん」だった。
壊れたブレスレットの修理を受け取るため、叶ははじめてくろしんと会う約束をする。
待ち合わせのコーヒーショップの前に立っていたのは――スーツ姿の、あの上司だった。
「この件に関しては、互いに他言無用だ」
そう決めたはずの二人が、防音室のある部屋を借りて暮らし始める。
一枚の遮音カーテンで仕切られた、配信ゾーンと作業ゾーン。
線を引いたのは黒瀬の方だったはずなのに、その境界は少しずつ曖昧になっていく。
そんなある日、
配信に一秒だけ映り込んだ通知が、二人の生活を壊しにかかる。