あらすじ
ゴミ収集所で見つかった、焦げただれた身元不明の部位。現場に立ち会った捜査一課の加藤彩乃は、キキョウホールディングスの全面協力のもと徹底的な捜索を行い、散乱していた人体部位を次々と発見する。
しかし、頭部がない遺体は性別すら判別できず、捜査は難航。突破口を開いたのは、八尾丸病院に残されていた血液データの照合だった。被害者は、二十二歳の青年・長谷川慎。
身元が判明し、病院関係者への聞き込みから一人の男の存在が浮かび上がる。慎が入院していた頃、頻繁に面会に訪れていた男――坂口拓海。
加藤たちが追及に乗り出すも、拓海はすでに姿を消していた。
足取りが途絶えて四日後、鳩吹山の密林に佇む古びた作業小屋で、拓海は大量の睡眠薬を飲み、ひっそりと命を絶っているのが発見される。その冷たくなった腕の中に、焦げた慎の「頭部」を大切そうに抱きしめたままで――。
体は捨てられても、顔だけは手放すことができなかった。二人だけの狂おしく暗い愛の真実が、静寂のなかで明かされる。