あらすじ
犬、猫、スライム。この世界のペット三巨頭だ。
スライムは埃も髪の毛も食べてくれる。放しておけば部屋は片付く。そして何より安全だ。生きているものには反応しないから、赤ん坊の寝ている部屋にも置いておける。
死んだものしか、食べられないのだ。
ただし、ルールがひとつある。
ひとつながりの死体を食わせてはいけない。取り込んだスライムは二つに分離し、片方が食べ続ける。食べ終えたとき、それは食べたものの姿をしている。
そして、その種を殺せるようになる。
殺してしまえば、それは死んだものになる。掟は破られていない。
几帳面な男が、妻を四つに分けて路地裏に捨てた。四つに分ければ、もう一人ではない――彼はそう計算した。
スライムは、そう解釈しなかった。
三日目の夜、四つの塊は互いを見つけて、一つになった。
そして、自分の家に帰った。
カラスは巣に戻るだけだ。人間は、扉を開けてもらえる。
これは、人類が静かに置き換わっていった記録である。
――記録は、誰かが書かなければ残らない。