あらすじ
警備会社に十五年間勤める、ごく普通の男――高坂雄二。
妻・美奈と息子・翔太の三人で暮らし、決して裕福ではないものの、家族を守るために懸命に働いていた。
そんなある日、雄二の人生を一変させる出来事が起こる。
宝くじ――三億円。
突然手にした莫大な金。
雄二は最初、家族のために使おうと考えていた。
しかし、ほんの小さな迷いから、
「このことは、誰にも言わない」
そう決めてしまう。
そして雄二は警備会社を退職する。
だが、妻には退職したことを告げず、これまで通り「仕事に行く」と嘘をつき続ける。
自由な時間。
使い切れないほどの金。
誰にも知られていない秘密。
それまで家族のために生きてきた雄二の中に、少しずつ別の欲望が芽生えていく。
そんな中、雄二は一人の女性・理沙と出会う。
妻には「仕事」と嘘をつき、理沙には「家庭はもう冷めている」と嘘をつく。
二つの人生を使い分けるうちに、雄二は自分自身でも何が本当なのか分からなくなっていく。
やがて、美奈が雄二の退職の事実を知る。
そして、三億円の存在。
さらに、理沙との関係。
雄二が積み重ねてきた嘘が、次々と明らかになっていく。
家族のために手に入れたはずの三億円。
家族を守るために始めたはずの秘密。
それらはいつしか、家族を壊す最大の原因となっていた。
そして、すべてを失いかけた雄二の前に現れる、一通の手紙。
そこには、彼がこれまで知らなかった父親の過去と、三億円につながる意外な真実が記されていた。
宝くじの当選は、本当にただの偶然だったのか。
なぜ父親は、死の間際にあるものを残したのか。
そして、美奈はなぜ最後まで雄二に伝えなかった秘密を抱えていたのか。
物語の終盤、すべての伏線が一本につながったとき、雄二は自分が信じていた「家族」というものの意味を初めて知ることになる。
三億円を手に入れた男が失ったもの。
金では買えなかったもの。
そして、最後まで守ろうとしたもの。
これは、幸運によって人生を変えた一人の男が、自らの欲望と嘘によって大切なものを失い、それでも人生をやり直そうとする物語。
**『シンデレラナイト』**
――幸運は、人生を変える。
だが、その人生をどう生きるのかを決めるのは、自分自身である。