あらすじ
人類の希望、勇者レオンは、今日も魔族将軍ヴァルガと命懸けの決戦を繰り広げている――ように見える。
実際は、攻撃の順番も、倒れる時刻も、壊す建物も決まった台本つき。
幼馴染フィアの爆発魔法は、派手な見た目に反して殺傷力を抑えてある。盾役のローデンは敵味方まとめて事故から守り、戦いが終われば、人間と魔族が同じ地下室に集まって反省会を始める。
すべては王国と魔族の強硬派を欺き、本物の戦争を起こさせないためだった。
九か月間、死者はゼロ。
このまま休戦会議まで逃げ切れる――はずだった。
しかし、偽の戦果を信じた国王が命じる。
「次は魔族将軍の本物の首を持ち帰れ」
さらに王宮から、傷の偽装を見抜く怪力の回復術師エルナと、演技ではなく本気で魔王を討とうとする剣士アベルが送り込まれる。
茶番だった戦場へ、本物の刃が混ざり始めた。
嘘で平和を守ってきたレオンは、やがて気づく。
演技を続けるだけでは、戦争そのものを終わらせることはできない。
そして国王を止めるために選んだ陰謀は、レオン自身を、彼が最も嫌う王と同じ場所へ近づけていく。
序盤は、安全第一の八百長バトル。
その先は、人間と魔族の情報戦と王位を巡る陰謀劇。
偽物の戦争で身につけた「誰も殺さずに戦う技術」で、本物の戦争を止める異世界ファンタジー。