あらすじ
空に揺蕩う白鯨はありとあらゆる群れを狙う捕鯨船を打ち砕く。
たとえ未熟な子どもだろうと老いた鯨であろうと、己の理を犯さんとする愚者をその海に引き摺り込み二度と離さない。
『白鯨だけを憎め、白鯨だけを畏れよ、白鯨だけを怒れ、白鯨だけを許すな。我らは白鯨の喉元へ銛を投げる、鯨狩りの誇りを捨てるな!』
――エルフと呼ばれる知的生命体がゲートを繋ぎ、侵略を開始した世界。
人類軍は瞬く間に撃破され欧州大陸の過半が陥落する中、イギリスに逃れた連合軍は数少ない希望として反攻の準備を整えていた。
そんな最前線、生存率の極めて低い『懲罰飛行隊』に米国から一人の陸軍少尉が派遣されてくる。
ならず者ばかりの部隊においてその少尉の存在はあまりにも不可思議だった。
何故、犯罪歴が存在しない新任の少尉であったのか。
何故、この少尉は呪われた銀色の旧式機を与えられ冷遇されているのか。
何故、この少尉の身辺を調べるとすべてが『不詳』になるのか。
――この少尉は、一体何者だ。
白鯨はただそこに存在する。
白鯨はただ群れを愛する。故に平和を愛するのだ。
畏れよ、銛突き達よ。海の神に矛先を向けるならばその罰は悍ましく、夥しいものになることを覚悟せよ。
今、光は沈み。
白銀の体躯はお前を指し示した。