あらすじ
「――また、呼ばれた」
十年前、女子高生だった私は異世界エルディアへ召喚された。
聖女としての力を授かり、勇者とともに魔王を討ち、荒れ果てた大地を癒やした私は、王太子レオンと恋に落ちた。
元の世界へ帰ることもできた。
けれど私は、彼と生きることを選んだ。
やがて私はレオンと結婚し、王妃となった。
――それから十年。
死んだはずの私は、再びエルディアへ召喚された。
けれど、かつて私を愛してくれたレオンは、私を見るなり怯えた顔をする。
しかも私の隣には、十年前には存在しなかった「新しい聖女」がいた。
「私が、今の聖女です」
どうやらこの十年の間に、私はこの国の歴史から消されていたらしい。
王都では、こんな噂まで流れている。
『昔の聖女は、民を騙していた』
『自分を崇めさせるために魔物を増やした』
『王を脅して、帰還の魔法まで壊した』
もちろん、私にはそんな覚えはない。
なぜ私のことが悪女として語られているのか。
なぜ帰還の術は失われているのか。
そして、なぜ私は十年の時を越えて再び召喚されたのか。
疑問を抱える私の前で、新たな聖女エリスが告げる。
「本物の聖女は、あなたです」
さらに彼女には、私自身も知らないはずの「私の記憶」が見えていた。
やがて少しずつ蘇っていく、十年前の記憶。
忘れていた十年。
偽られた歴史。
そして、かつて愛した人が隠している真実。
「――レオン。あなたは、私に何をしたの?」
これは、世界を救った聖女が、失われた記憶と自分をめぐる真実を取り戻していく物語。
そして彼女は最後に知ることになる。
自分がこの世界へ呼び戻された本当の理由を――。