あらすじ
汚れ繭や穴あき繭を除き、玉繭をほどき、七、八本の緒を均一な生糸にする。けれど繰り子ジヴィレの名は、二つの工房で手柄から消された。三度目の働き先は婚約者タルモの工房。そこで老養蚕家から「受託者ジヴィレ」として三十籠の繭を預かるが、タルモは家の所有物として売るつもりらしい。ならば委託は、字義どおりに。ジヴィレは鍵も今季の工賃も置き、三十籠すべてを依頼主へ返す。そんな彼女を自家で雇おうとした繭商ヤークもまた、「鍋が替わるだけです」と問われて考え直す。腕ごと囲われるのでなく、自分の名で仕事をしたい彼女と、その隣に立つ方法を選び直す彼の、少々糸の絡まった仕事と求婚のお話。