あらすじ

もし、新選組総長近藤勇が、どこにでもいる普通の少女だったら?  という歴史IFもの。男装の女。幼馴染三人の爛れた愛憎。少年同士の禁断の恋。 ヒロイン:宮川千恵 / 近藤勇  ……銀嶺に首を垂れる冬薔薇のような女  繊細で心優しい、ごく平凡な少女。百姓の娘。  14歳のとき、天然理心流三代宗家/近藤周助により見出され(拉致され)、女の身で剣道道場・試衛館に入門することとなった。  土方歳三と出逢い結ばれ、ひとりの女としての生に希望を見出しかけるも、彼との子を奪われすべてに絶望。養母にかけられた呪いから女の性を捨て、男性としてのいつわりの人生に生命を賭して挑む決意をする。 【Fetish:被虐嗜好】彼女の本質は、愛する男にすべてを搾取され、汚されることでしか己の価値を実感できない極端なマゾヒズムと自己犠牲にある。  意のままにならない土方に慢性的な飢餓感を抱きながらも、その苦痛すら気持ちが良い。生きていてよかったと心から思える。彼が作り上げた美しい男神の器を演じ続けることでしか彼の気を引けないが、その原動力が女の欲望であるという点で、もはや修復不可能な自己矛盾を抱えている。 【Keyman:薫】13歳の土方との間にもうけ、奪われたむすこ。薫と名付けたが混乱の中でその名も失われた。 ヒーロー:土方歳蔵 / 土方歳三  ……重く冷たく乾いた男の心臓に、いつかその人が戯れに灯した火が今も青く燃えている  13歳にして、暗闇で大人の女を貪る早熟で孤独な少年。  ”近藤勇”の共犯者、絶対的理解者でありながら、少女千恵とは鏡合わせにむきあう虚な存在。  11歳のとき、奉公にでた先で主人の娘に不本意な性的関係を強要されて以来、男性性に強く固執する一方で、女性たちを蔑み劣った存在としてみなしている。慕わしい女たちの存在を神格化することで自身の中での矛盾を回避するが、その悪癖はやがて常軌を逸した献身となり、千恵を新撰組局長の座に縛りつけることとなった。  短い生涯の中でたびたび、素顔をあらわにした彼女と対面するとき、土方は、愛する伴侶に対する庇護欲と、忌まわしい性別のものに対する破壊欲求に苛まれ苦悶する。 【Fetish:偶像崇拝】彼の愛は、相手の尊厳すら自らの理想の檻に閉じ込める、極限のエゴイズムである。女性という生き物に底知れぬ嫌悪と恐怖を抱く彼は、愛する千恵を……愛する女を……”女"という泥濘から切り離すため、彼女を殺人集団の頭領へと祭り上げた。己の肉欲は使い捨ての女たちで処理する一方で、千恵にだけは決して指一本触れようとしない。彼女を抱かないことこそが、彼にとっての最大の愛情表現なのだ。 サブヒーロー:山崎丞  ……ヒトが火を燃やし続けるために擲たれる薪のようなものなら、おれはもうほとんどが灰になっているだろう  試衛館時代以来の”近藤勇”の主治医。近藤が局長になってからは、新撰組隊士としても連れそう。  近藤より年上で、よく頭と口が回る気の利いた男。ただし全ての人間を憎悪する。  漢方医の子息で、その知見を用い隊士を治療して回りながら、監察として土方の命を受け、影の仕事をこなす。  近藤の無防備な女の姿を知り、傷に触れることを許された数少ない人物でもある。土方によって満たされることのない彼女と性的関係をもち、姫君のように扱い、愛の言葉さえ囁くが、これは彼自身の満たされなかった過去の再現行為である。青年期、不本意に失った美しい妻と、傷心の近藤を重ねているのである。  近藤を愛しているのか、それとも過去のまぼろしを愛しているのか、すでに定かではない。 【Fetish:標本作製】彼の愛は、相手の本質を無条件に肯定すること。土方が強いる苦痛に対し、快楽と安寧をもたらし、自堕落で無力な女へと退行させていくことに仄かな悦びを見出している。実のところ千恵から生存の意味を奪い、美しいだけの無力な生き物として永遠に閉じ込めようとする、男性的な支配欲ともいえる。 【Keyman:利恵】リエとよむ。彼が忘れられないでいる美しい妻。大飢饉の際に口減しに出された千恵の姉であることがのちに判明する。

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カクヨム2026/09/02
  • 現在の作品【漫画原作】あをじの冬のばら-千恵物語-