あらすじ
1985年9月、日本。
翌年に迫る東京サミットを前に、内閣改造の影がちらつく。最高裁判所長官もそろそろ交代がありそうな頃だった。
世界各地に駐留する米軍人や軍属たち。その一部では、高額な国際電話に代わり文字だけでも本国の家族と連絡を取る手段としてFidoNetが利用されていた。
FidoNetのメールは複数のノードをリレーして宛先へ届けられる。
だがメールは平文だ。中継ノードの管理者なら、預かったメールを読もうと思えば読めてしまう。
日本では「通信の秘密」が憲法に定められ、その具体的な扱いを巡る電気通信事業法も施行されたばかり。草の根ネットワークの中継メールをどう扱うのかは、まだ何もかもが手探りだった。
現在は黙認されたまま問題なく運用できている。だが郵政行政の方針が変われば? 司法の空気が変われば?
米軍関係者の生活にまで入り込んだネットワークだけに、話がこじれれば基地運用や外交上の厄介事にまで発展しかねない。
杞憂で終わればそれでいい。それでも念のためと、軍事関係雑誌編集者の中野はPC雑誌編集者の田中へ相談を持ちかけた。
田中が依頼を回した相手は自分の手札の中でも一番の変わり種。TOYと名乗る手の異様に速い高校生ハッカーだった。
依頼を聞いたTOYは考える。
中継ノードに読ませたくないなら、宛先しか解読できないようにすればいい。
その用途ならRSAが使える。だが実装がない。ならば作ろう。
論文と規格書をかき集め、必要なものを一つずつ実装していく。
世界を変えるかもしれない暗号実装は、DESのS-boxの手入力から始まった。
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「還暦間際のオッサンが8Bit時代に戻って不完全燃焼をやり直す話」
https://kakuyomu.jp/works/822139842650897571
から着想を得た二次創作です。
TOYの作業進捗は各話公開ごとにGitHubへpushされます。clone して合わせてお楽しみ(?)ください。
https://github.com/ACoward-Kakuyomu/TOY-RSA
またそれぞれにタグを打っていきます。リアルタイムではない読者様は clone してから切り替えて見ることで追体験できるかと思います。