あらすじ
「どうすれば、できるようになるんだろう?」
それが、彼にとっては当たり前の疑問だった。
剣術も、魔法も、鍛冶も、学問も。
世の中には「一人前になるには何年もかかる」と言われているものがある。
けれど彼は、疑問に思う。
なぜできないのか。
何が原因なのか。
どうすれば、できるようになるのか。
原因を探し、方法を考え、試して、失敗すればまた探す。
そうして彼は、気づけば多くの分野で一流と呼ばれるほどの力を身につけていた。
それでも、彼には分からないことがある。
――自分は、何になりたいのか。
得意なことはたくさんある。
興味のあることも、たくさんある。
だからこそ、一つに決めることができなかった。
そんな彼が選んだのは、既存の専門職では解決できない問題を調査し、原因を探り、必要な人間を繋ぎ、解決へ導く仕事だった。
訪れる先々で出会うのは、「昔からそうだから」「みんなそうしているから」と常識を踏襲する人々と抱える問題の数々。
なぜ、魔法はこの方法でしか使えないのか。
なぜ、剣士は同じ鍛錬を何年も繰り返すのか。
なぜ、この道具は昔から同じところで壊れるのか。
彼は今日も、当たり前のように問いかける。
「それが無理だと、誰が決めたんですか?」
答えを探して歩き続ける。
その足跡が、やがて世界を少しずつ変えていくとも知らずに。