あらすじ
凡庸と退屈が蔓延する進学校・名館高校。
そこに通う千田勇吾(ちだ ゆうご)は、法や倫理を「凡人を制御するためのルール」と見下し、退屈を埋める刺激として人間観察や悪事を冷徹に楽しむ知性の持ち主。彼にとって周囲の人間は、ハッキングしてバグを抽出するための情報端末に過ぎなかった。そんな千田の隣には、彼の邪悪さを誰よりも理解し、羨望と葛藤を抱えながらも彼を繋ぎ止めようとする「善の象徴」・森涼介(もり りょうすけ)がいた。
ある日、退屈な日常の均衡を壊そうと考えた千田は、ある「実験」を企てる。ターゲットに選ばれたのは、学力や社会性とは無縁ながら、予測不能な角度から世界を捉える感覚の持ち主・村山光輝(むらやま こうき)。千田は「面白さ」のためなら心すら賭ける女子生徒・白井風香(しらい ふうか)を刺客として送り込み、ハニートラップや悪意ある罠で村山を社会的・精神的に追い詰めようと画策する。
しかし、どれほど緻密な悪意を仕掛けようとも、村山はそれをすべて無垢な快楽と独自の閃きへと変換し、軽々と受け流してしまう。自らの高度なロジックが通用しない「予測不能なバグ」を前に、千田はかつてない知的好奇心と歓喜を覚える。
知性と本能、冷徹な観察者と純粋な混沌。常識外れの高校生たちが織りなす、歪で刺激的な実験の日々が幕を開ける――。