あらすじ
人間と獣人が争い続ける世界。
人間国の王子・ヴァルターは、獣人を憎み、幾度となくその命を奪ってきた冷酷な王子だった。
ある日、戦によって獣人国から連れ去られたのは、国一の美貌を持つ少女・アリア。
ヴァルターは彼女を自らの妃として迎え入れる。
けれど、それは愛ゆえの婚姻ではなかった。
逃げられないよう自分の手元に置き、最後にはその命を奪う――。
そう決めていたはずだった。
ところが、怯えながらも懸命に生きようとするアリアと過ごすうち、ヴァルターの中に今まで知らなかった感情が芽生えていく。
彼女が泣けば胸が痛む。
彼女が笑えば、なぜか嬉しい。
そしていつしか――
「この女だけは、殺せない」
そう思うようになっていた。
一方、獣人国には古くから伝わる不吉な予言があった。
――人の血と獣の血を持つ者が、王の血を断つ。
その予言を信じる獣人国の王子・レオンハルトもまた、アリアを追い始める。
さらに、二人の王子には誰も知らない出生の秘密が隠されていた。
なぜアリアは敵国の妃となったのか。
なぜヴァルターは、憎んでいたはずの獣人であるアリアだけを殺せないのか。
そして――二人の王子の本当の血筋とは。
血と憎しみで結ばれた二つの国で、一人の王子が初めて知る。
それが――愛という感情だった。