あらすじ
記憶を失い、見知らぬ異世界の森で目を覚ました青年・ワッパ。
自分の名前以外、過去のことを何ひとつ思い出せない彼は、森で出会った少女エルナに助けられ、小さな村へと迎え入れられる。穏やかな人々に囲まれ、ワッパはここで自分が何者なのかを探そうと決意する。
しかし、その夜。白い霧とともに謎の怪物が村を襲撃する。
絶体絶命のワッパの頭の中に、突然「伏せろ」という声が響く。
誰もいない。エルナにも聞こえていない。
それは、ワッパにしか聞こえない「幻聴」だった。
声を信じることを恐れるワッパだったが、その言葉に従うたび、彼は危機を回避していく。そして失われた記憶の中から、自分が前の世界で「統合失調症」と診断されていたことを思い出していく。
人間の言葉と、自分にしか聞こえない声。
どちらが現実で、どちらが嘘なのか。
やがてワッパは、この世界に隠された秘密と、自分がここへ転生した理由に近づいていく。
そして気づくことになる。
人間は嘘をつく。
記憶さえ、自分を裏切る。
それなのに――
この世界では、幻聴だけが一度も嘘をつかなかった。