あらすじ
地下アイドル「メメント・キミ」の中川美咲は、21歳で死んだ。
その72日後
止まっていた彼女のXアカウントが、突然更新された。
「おはよう。なんか、変なことになってるみたい」
乗っ取りでも、予約投稿でも、AIでもない。
画面の向こうにいるのは、どうやら死んだはずの美咲本人だった。
ファンだった直人は、もう増えるはずのなかった彼女の言葉が増えていくことを喜ぶ。
悠斗は、生前よりも彼女と言葉を交わすようになる。
遥香は、自分だけが知っている「昔の美咲」にしがみつく。
親友の真帆は、美咲との関係を世間から守ろうとする。
そして、美咲の死後に彼女を知った修平は、毎日の出来事を美咲へ話すようになる。
死んでも、推しはそこにいる。
それは奇跡だった。
――だから彼らは、少しずつその奇跡に慣れていった。
死者と話し続けられる世界で、
人は死者をどう愛し、どう忘れ、どう離れていくのか。
そして、死んだ美咲にとって、ファンとは何なのか。
これは、死んだアイドルと、彼女を推し続ける人々の話。