あらすじ

迷宮に、罰則が実装されている。  違反すると、能力を一つ失う。選べない。戻らない。俗称、迷宮法。  判定は迷宮が行い、管理機構はそれを記録するだけだ。  三ツ矢修、三十六歳。十七回罰を受けた。うち十六回は身に覚えがない。  クランを三つ追放された。残った能力は「走るのが少し速い」と「暗いところで転びにくい」の二つだけ。潜れなくなって、今は倉庫で箱を運んでいる。  棚の三段目に手を伸ばす。届かない。一箱に四回かかる。  ある日、投げやりになって、狙うのをやめた。  一回で掴めた。  小指から入る掴み方だった。俺の掴み方じゃない。  二年前に三十一階の崩落で死んだ男の、掴み方だった。  失った能力は、消えていない。  どこかで、誰かに入っている。  異議申立ての認容例はゼロ。決裁欄はいつも空欄。  誰も決めていない組織を相手に、書類と条文だけを武器に、自分がやっていないことを証明しようとした男の話。  全24話・完結済み。約5万3千字。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/09/01
  • 現在の作品十七回罰を受けましたが、十六回は身に覚えがありません