あらすじ
京都を訪れた三十歳の看護師・水城紗良は、博物館で千年前の恋文に出会う。
――来世にて、今一度、そなたを見つけよう。
その夜、満月に照らされた宇治川のほとりで意識を失った紗良が目を覚ますと、そこは千年前の平安の都だった。
見慣れぬ衣、閉ざされた御簾、祈祷に頼る人々。病に倒れた姫を救うため、紗良は現代の知識を使い、この時代でできる看護を始める。
そこで出会ったのは、都の最高権力者である関白・雅継。冷静で近寄りがたい彼は、身元も分からず常識にも従わない紗良を警戒する。けれど、命を前に一歩も引かない彼女を知るうち、そのまなざしは少しずつ変わっていく。
やがて宮中に広がる、もののけの噂。夜の池に現れる女。紗良が現代で見た恋文と、雅継が抱える孤独――それらは、千年の時を越えて一つにつながり始める。
しかし、紗良が現代へ帰れる機会は、次の満月まで。
残るのか、帰るのか。
これは、千年前に出会い、別れ、そしてもう一度めぐり逢うことを願った二人の物語。