あらすじ
妖や怨霊が現れる世界で、人々を守る「陰陽師」。
十六歳の天城朔夜も、陰陽師を目指して学園へ入学した。
成績は普通。
術式の才能も普通。
ただ一つだけ、普通ではないものがあった。
――式神を召喚すると、必ず「人間」が現れる。
最初に現れたのは、黒羽と名乗る少年だった。
その少年は、朔夜の顔を見るなり言った。
「……お前、生きてたのか。」
意味が分からない。
黒羽という人間は、どこにも記録されていなかった。
そして二人目、三人目と召喚されていく式神たちも、なぜか全員が朔夜を知っていた。
ただ一人。
朔夜だけが、彼らを知らない。
やがて学園の地下から見つかったのは、百年前の一枚の肖像画。
そこに描かれていたのは――現在の朔夜とまったく同じ顔をした少年だった。
名前は、天城朔夜。
百年前、妖災によって多くの人間が命を落とした。
そして、その事件の最後に戦った陰陽師の名前だけが、歴史から消されている。
その名前もまた――天城朔夜。
なぜ死者たちは、朔夜を知っているのか。
なぜ朔夜は、死者しか式神にできないのか。
そして、今ここにいる天城朔夜は――本当に「生きている」のか。
死者たちと少年の、百年越しの物語が始まる。