あらすじ
「お前には、もう任せられる仕事がない」
そう父に告げられ、十六歳で辺境の領へ送られた公爵令嬢リディア・アッシュフォード。
幼い頃から、何をやっても妹のエレナには敵わなかった。
勉強も、音楽も、礼儀作法も、そして絵も。
自分には何の才能もない。
家族からも必要とされていない。
そう思い込んだリディアに残ったのは、下手でも描き続けてきた絵だけだった。
ところが辺境で暮らすうち、リディアの絵には不思議な力があることが分かっていく。
彼女は、人の表情や仕草から、その奥に隠された感情を見つけることができた。
父と娘の怒りの裏にある焦りや苦しみ。旅人の隠された正体。
疑い深い国王の奥にある、誰かを信じたいという願い。
そして、七年ぶりに帰った故郷で、リディアは家族に再会する。
あの日々の言葉の奥にあったものと離れてしまった家族が抱えていた後悔。
妹がずっと胸にしまっていた想い。
これは、愛されていないと思っていた少女が、
人の心を描くことで、もう一度家族を見つける物語。