あらすじ
聖紋が現れた者は、魔王を倒すまでその運命から逃れられない。
十八歳の夏、幼馴染のミアと婚約したばかりのシオンの手に、騎士の聖紋が浮かび上がった。世界に選ばれてしまった以上、断ることは許されない。
「必ず帰る」
その一言だけを支えに、シオンは旅立った。魔王討伐までの旅は、五年で終わることもあれば、二十年かかることもあるという。
ミアにできることは、ただ待つことだけだった。
毎日パンを焼き、孤児院に届け、教会で祈り、両親の墓の前でだけ弱音をこぼす。届く手紙に一喜一憂し、届かない返事を木箱にしまい続ける日々。
「そろそろ、自分の人生を考えたら?」
優しく想いを寄せてくれる幼馴染。旅の空で出会った、美しい王女。それでも消えない、たった一人への想い。
十年後、世界を救った英雄が最後に選んだのは——故郷へ、「ただいま」と帰ることだった。
一途に想い合う二人の、十年越しの再会の物語。