あらすじ
戦乱の世――。
汐見島に存在する泉穂国、嶺賀国、栄江国の三国は、危うい均衡の上に立っていた。
泉穂国を治める杉田家の娘・沙耶は、隣国・嶺賀国との関係を結ぶため、次男・琉成を婿養子として迎えることになる。
沙耶の護衛・弥月は、笑みを絶やさぬ琉成に強い警戒心を抱く。
——本当に、この男を信じていいのか。
人を信じることのできない、護衛・弥月。
穏やかな笑みの奥に本心を隠す、婿・琉成。
己の想いを胸にしまい、国と家のために生きる姫・沙耶。
それぞれが胸に秘めた想いを抱えたまま、三人の関係は静かに動き始める。
しかし、小さな疑念から生まれたすれ違いは、やがて取り返しのつかない歪みを生んでいく。
信じていた想いが揺らぎ、守りたかった絆が傷ついていく中で、彼らが最後に選ぶ道とは――。
人を信じることの難しさと、人を想うことの切なさ。
これは、戦乱の陰で傷つきながらも、心を通わせようとした者たちの物語。