あらすじ
武州多摩郡・関野新田陣屋で手代を務める滝川健四郎。農政と治水をこよなく愛する実直な青年だが、彼には困った悩みが二つあった。
一つは、持ち前の類まれな観察眼と農業知識が南町奉行の大岡越前や同心たちに見込まれ、不可解な難事件の捜査に毎回巻き込まれてしまうこと。もう一つは、代官の美しい娘・お静との身分違いの恋だった。
額の潰れた水死体と、姿なき女が操る甘く危険な呪術(第1章:沈丁花)。
突如現れた元許嫁と、空白の畑に隠された幕府の「禁忌」(第2章:菫)。
そして、江戸の大店を狙う謎の女詐欺師との息詰まる対決(第3章:白檀)。
事件の裏にはいつも、沈丁花、菫、白檀といった香りをまとう、したたかな女たちの影があった。
土の匂いと作物の痕跡から真実をあぶり出す健四郎は、泥臭い知恵と観察眼で江戸の闇に立ち向かう。果たして健四郎は、謎の女詐欺師との対決を制し、愛するお静と結ばれることができるのか?
謎解きの爽快感、江戸の情緒、そして純愛が交錯する、本格時代劇ミステリー!