あらすじ
覚えているだけでは、答えには辿り着けない。
魔法学院の三年生、第二クラスに所属する十五歳の少女、フローレン・アストリア。
一度読んだものも、授業で聞いた言葉も、細かなところまで覚えていられる彼女には、ひとつだけ苦手なことがあった。
――応用問題が解けない。
頭の中には、たくさんの知識がある。
ひとつずつなら答えられるのに、少し形を変えて問われると、それをどう使えばいいのか分からなくなる。
分からないのは、きっとまだ知らないことがあるから。
そう思って、フローレンはさらに本を読み、知識を増やそうとしていた。
そんなフローレンに「足りないのは知識ではない」と気づいた、特進クラスのレオ。
彼が引き合わせたのは、知っていること同士を繋げて考える方法を教える、特進首位のルシアンだった。
「そっか……繋げるんだ」
ばらばらだった知識の間に、初めて一本の線が引かれる。
それをきっかけに、フローレンの世界は少しずつ広がり始める。
学ぶこと。誰かと考えること。自分で選ぶこと。
そして、いつの間にか当たり前になっていく三人で過ごす時間。
これは、まだ自分の才能を知らない少女と、彼女の可能性に気づいた二人の少年が、魔法学院で過ごす三年間の物語。
友情も、成長も、やがて芽生えるまだ名前のつかない感情も。
北の空で旅人を導く七つ星《アステルの杖》の下、三人はそれぞれの道を見つけていく。