あらすじ
夜の学校で、ひとりの少女に出会った。
白いブラウス。暗い赤のスカート。裸足。
名前を覚えていない彼女を、日和は「メア」と呼ぶことにした。
廊下に並ぶ白い輪。
片方だけの古い赤い靴。
写真には映らないもの。
昨日とは少しだけ違っている家族の記憶。
「遊ぼ」
「いいよ」
始まりは、ただのけんけんぱだった。
けれど白い輪は学校を越え、家へ、街へ、そして人々の日常そのものへ入り込んでいく。
怪異とは何なのか。
向こう側へ行くことは、本当に不幸なのか。
帰ってくることだけが、本当に正しいのか。
高校三年生だった日和はやがて大人になり、かつて恐れられた怪異が社会の中で「普通」になっていく時代を見届けていく。
これは、怪異を倒す物語ではない。
人間と怪異が出会い、互いを知り、
「帰る」「行く」「今日はやめておく」を、自分で選べるようになるまでの物語。
そして今日も、どこかで二人分の足音がする。
コッ。コッ。パ。