あらすじ
私たちはみんな泥棒だ
著者:ファラマルズ・ネジャーティ・ガヴァム
ある夜、少年の父が窃盗の容疑で逮捕される。その瞬間から、少年の人生は一変した。母は心を閉ざし、妹は自ら命を絶とうとし、家族はばらばらになっていく。孤独の中で、少年はやがて父と同じ道——泥棒としての人生——を歩み始める。
謎めいた「仲介人」からの依頼で仕事をこなすうち、少年は次第に腕を上げていく。だが、ある夜出会った一人の少女との恋、映画館での偶然の出会い、そして刑務所での長い年月を経て、少年は自分を取り巻く世界の裏に、想像もしなかった真実が隠されていることに気づいていく。母の死の真相、父の本当の姿、そして「仲介人」の正体——すべてが少しずつ明らかになるたび、少年の人生観は根底から揺さぶられていく。
物語の後半では、殺し屋として生きる二人組、フランクとジョーの視点から、依頼という名の暴力の連鎖が描かれる。哲学書を愛する冷徹なフランクと、皮肉屋だが情に厚いジョー。この対照的な二人もまた、それぞれの喪失と痛みを抱えながら、「仕事」という名の日常を生きている。
やがて、少年とフランクたち、そして父と仲介人の運命が交錯し、物語は思いもよらない結末へと収束していく。
本作は、「盗み」という行為を通して、家族、裏切り、そして人間の本質を問う物語である。父が息子に語ったひと言——「俺たちはみんな泥棒だ。ただ、盗み方が違うだけだ」——が、全編を貫くテーマとなっている。