あらすじ
帰ってきたら、ルナが変わっていた。
カナとミアが去った後、ルナは一人で感じ取りの練習を始めていた。毎朝、目を閉じて手を広げて、集落の状態を感じ取ろうとしていた。一週間で、少し分かるようになっていた。
集落が、二十七から二十八になっていた。ルナが感じ取り始めたことで、問題に早く気づけるようになった結果だった。
そして、ベルクから手紙が来た。竜の卵が、そろそろ孵化するかもしれない。オルトが観察していて、卵が内側から光り始めている。ガレス王が、来られるなら来てほしいと言っている。
凪は迷わなかった。気になるから、行く。それだけだった。
ルナが、出発の前に言った。竜が生まれたら、名前を考えておく、と。
ガロン山に着いたとき、竜が待っていた。百年間、卵を守り続けた竜が、もうすぐだと言っていた。その夜、卵にひびが入った。光が外に漏れた。そして、ヒカルが生まれた。
新しい命が光った。百年間の待ちが、一瞬になった。シロが、生まれたばかりのヒカルに最初に触れた。竜が、その様子を見守っていた。百年間一人だった竜が、今日から一人ではなくなった。
セルドの川が、穏やかになった。嵐を起こす理由が、なくなったから。
帰ってきたとき、竜から石が届いていた。手紙ではなく、石で返事が来た。卵のそばにあった石だった。ヒカルという名前を、受け取ったという証拠だった。
ルナが、石を並べた。池の底の石、ゴルの山の石、竜の石。三つのつながりが、石の形になっていた。
そして、集落が三十になった。来たときの三倍になった。特別なことは起きなかった。ただ、毎日続けてきた結果が、その日の朝に現れた。
凪が言った。必要がなくても、来たい。気になるから来る。その言葉を、ルナが一番大事なこととして書き留めた。
ベルクとルースから良い報告が来た。クレスの息子が記録を始めた。三世代で川を見ることになった。リドルが顧問として復帰する可能性が出てきた。全部が、少しずつ良い方向に動いていた。
続けることが、この部のすべてだった。