あらすじ
放課後の鏡から、片想いの子にそっくりな「王女」が堕ちてきた。
高山響には、誰にも言えない片想い相手がいた。クラスメイトの亜月アヤ。告白する勇気もないまま、俺はただ彼女を遠くから見ていた。
放課後、誰もいない旧校舎の鏡の前。そこに現れたのは、アヤにそっくりな少女――シラユキだった。
「あなたが、わたしを……」
そう言って倒れ込んだ彼女を、俺はなぜか放っておけなかった。気づけば、うちの母が「うちいればよくね?」の一声で、シラユキを家族として迎え入れていた。
過保護すぎる教育係シンピ、軽薄なのに妙に優しいマトイ。異世界からの珍客たちが転がり込んだ、騒がしい同居生活が始まる。
普通の家、普通の食卓、普通の夜。俺の日常は変わらず続いているはずだった。
けれど、シラユキには決して思い出してはいけない「罪」があった。そして鏡の向こうには、姉を取り戻すために動き出した双子の弟――シロガネがいた。
「僕の大切な半身を、この檻に取り戻すために」
ある日、アヤが姿を消す。彼女に届いていた「助けて」という声の正体を、俺は知ってしまう。
鏡ひとつでこちら側とあちら側が繋がってしまう、この現実の片隅で。
失ったものは、取り戻していいのか。それとも――欠けたまま、生きていくべきなのか。
姉と弟、そして響とアヤ。二つの世界にまたがる運命が、静かに動き出す。