あらすじ

夜のタワーマンションで、大企業CEO・御堂恒一が殺害される。防犯カメラには容疑者の顔が鮮明に映っていた。名前は黒瀬恒一、42歳。免許証、勤務先、銀行口座、SNS、元妻の証言——すべての証拠が、この一人の男を指し示している。 だが警視庁捜査一課の神谷玲司が現地に向かうと、そこに黒瀬恒一という人間は存在しなかった。住所には無関係の家族が住み、戸籍はどこにも見当たらない。それでいて、彼の「人生」を裏付ける証拠だけは、次々と増え続けていく。同級生の証言。四十二年分の生活史。SNSに残された無数の思い出。 デジタル・フォレンジック専門官の白石真帆と共に捜査を進めるうち、神谷は違和感を募らせていく。証拠が積み重なるほど、事件は解決に近づくどころか、より深い闇へと沈んでいくのだ。 「証拠は真実ではない。証拠は、真実に見えるものだ」——かつての苦い経験からその教訓を胸に刻んできた神谷は、やがて一つの恐るべき可能性に行き着く。この殺人事件の背後には、人間の「信じる」という行為そのものを標的にした、何かがある。 存在しない犯人を追う捜査は、やがて神谷自身の足元をも揺るがし始める。あなたが今日、当たり前だと信じているその情報は、本当に確かなものだろうか。

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小説を読もう2026/09/01
  • 現在の作品存在しない犯人