あらすじ
攘夷の時代に、私はパンを焼いた。
そして、新選組の男に恋をした。
祝言の日、ようやく掴んだはずの幸せ
―その門出は、たった一通の書き置きで崩れ去った。
「夫が京へ出奔した」
残されたのは、没落寸前の家と、帰らぬ夫の行方。
花嫁衣裳を脱ぎ捨てて、向かうは動乱の京都。
しかし辿り着いた先で待っていたのは、「鴉茶屋(カラスの茶屋)」と呼ばれる、ボロボロに煤けた謎の茶屋だった。
戦火に揺れる京の街で、一癖も二癖もある居候たちと、幕末の動乱を彩る英雄たちの力を借りて、武家の娘・須磨(すま)の夫探しと再生の物語が幕を開ける。