あらすじ
長年勤めてきた会社で管理職となった景司は、同期であり親友でもある崇に「退職勧奨」を伝える役目を命じられる。会社の業績悪化と人員整理を理由に、崇には退職を求める方針が決まっていた。景司は管理職として会社の指示に従おうとする一方、二十年近く苦楽をともにしてきた友人を辞めさせることに強い苦悩を覚える。崇もまた、突然自分の居場所を失う恐怖と、親友である景司から退職を告げられた寂しさに苦しむ。二人は互いに本心を隠し、会社では作り笑いを浮かべる。しかし、昔通った食堂で昼食をともにしたことをきっかけに、二人は少しずつ本音を語り始める。やがて景司は、崇を辞めさせることだけを考えるのではなく、会社に残る道を探してほしいと上司に申し出る。崇も、自分の価値を会社の評価だけで決めることをやめ、自分自身の意思で未来を選ぼうとする。最終的に崇は仕事の形を変えながら会社に残ることになり、二人は再び友人として笑い合う。退職勧奨という苦い出来事は、二人に「人間は立場だけでは生きられない」という大切なことを教えた。