あらすじ

「お前の代わりなどいくらでもいる」 王太子殿下はそう仰って、真実の愛だという男爵令嬢を隣に立たせた。結構でございます。 六歳で婚約者に上がってから二十年。病に伏せる王妃陛下に代わって、社交の裁定も、冬の炭の割り当ても、諸侯夫人の序列も、この手で回してきた。世に言う〈王妃業〉である。 「承知いたしました。では、王妃業全437項目、後任の方へ丁寧にお引き継ぎいたします」 翌日から、わたくしは丁寧に引き継いだ。 第一項、冬の炭の割り当て。――三日後、王宮の北棟が冷えた。 一項目お渡しするたび、王宮の何かがひとつ止まる。後任の令嬢は三日で音を上げ、王太子殿下の机には陳情が積み上がる。そして、隣で見ていた国賓の王弟殿下だけが、なぜか目を輝かせていく。 「代わりはいくらでもいる」が本当かどうかは、引き継いでみれば分かりますわ。 ――ところで王弟殿下。あなたの治める国の官職に、空きはございまして?

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/08/31
  • 現在の作品「お前の代わりなどいくらでもいる」と婚約破棄されましたので、王妃業全437項目、丁寧にお引き継ぎいたします ~最後、殿下は「代わりが、ひとりもいない」と仰いました~