あらすじ
【あらすじ】
佐伯奈々、22歳。
高校時代から付き合っている恋人・樹と暮らしながら、仕事へ行って、休日には買い物をして、ときどき喧嘩をする。
恋人への気持ちも、二人で過ごす毎日も、これから先の未来も。
それが自分の人生なのだと思っていた。
そんな春、同じマンションの一つ上の階に住む近藤渚と出会う。
28歳。既婚者。背が高くて綺麗で、いつも穏やかな女性。
最初は、ただの隣人だった。
エレベーターで会えば挨拶をする。偶然帰宅時間が重なれば少し話す。それだけだったはずなのに、いつからか、会えば嬉しくなった。
今日はいないかな、と探すようになった。
渚もまた、夫との穏やかな結婚生活の中で、奈々の存在だけが少しずつ大きくなっていくことに戸惑っていた。
女性を好きになるなんて考えたこともなかった二人。
それぞれに大切な人がいて、それぞれに積み重ねてきた時間がある。
だからこそ、簡単に「好き」なんて言えない。
これは、誰かを嫌いになったから始まる恋ではない。
自分でも知らなかった気持ちに出会い、それまで信じていた「私」と、彼女を好きになってしまった「わたし」の間で揺れながら、二人が互いを選ぶまでの物語。
【登場人物】
・佐伯 奈々(さえき なな)/22歳
外資系企業で受付として働く会社員。150cmと小柄で、腰まで伸びたロングヘアが特徴。韓国系のファッションや美容が好きで、服装や髪型をその日の気分に合わせて変えるのが楽しみ。
穏やかで優しく、少し天然。泣き虫なところもある。
高校時代から付き合っている同い年の恋人、樹と暮らしている。彼が初恋で、今も大切な存在。女性を恋愛対象として意識したことは一度もない。
同じマンションに住む渚と出会ったことで、それまで当たり前だと思っていた自分の恋愛観が少しずつ揺らぎ始める。
・近藤 渚(こんどう なぎさ)/28歳
営業職として働く会社員。175cmの長身で、落ち着いた雰囲気を持つ綺麗な女性。
穏やかで気遣いが自然にでき、少し紳士的。人との距離を取るのが上手い一方、自分の本音を口にすることはあまり得意ではない。
長年付き合った夫・廉也と結婚生活を送っている。
昔から綺麗な女性やかわいい女性が目に入りやすく、髪やネイル、香り、服装の変化にもよく気づく。しかし、それを恋愛感情だと思ったことはない。
十一階に住む奈々と知り合い、最初はただ「かわいい人だな」と思っていたはずだった。
・中島 樹(なかじま いつき)/22歳
奈々の恋人。高校時代から奈々と付き合っており、現在は二人で暮らしている。
論理的で頭の回転が速く、奈々とは正反対に見える部分も多い。面倒そうにしながら結局は奈々の世話を焼いてしまう。
奈々との結婚も、ごく自然に自分の未来にあるものだと思っている。
・近藤 廉也(こんどう れんや)/33歳
渚の夫。ジムトレーナーとして働いている。
185cmの長身で一見すると近寄りがたい雰囲気だが、性格は穏やか。渚とは彼女が高校生の頃から長く一緒にいる。
渚を大切に思っている一方で、彼女と同じように、自分の本当の気持ちを言葉にすることがあまり得意ではない。
・美穂(みほ)/22歳
奈々の高校時代からの友人。
さっぱりした性格で、奈々にも遠慮なく物を言う。バイセクシュアルであることを奈々も以前から知っている。
奈々自身より先に、奈々と渚の間にあるものに気づいていく。