あらすじ
自他の境界を壊す〝スワンプマンの爪〟を持つ少年・菊彦。彼はある日、身を挺して猫を助けたことにより、車に撥ねられてしまう。瀕死の重傷を負い、朦朧とする意識の中で、彼は人ならざる者をその爪で傷つけてしまい――!?
※この作品は小説形式ではなく、漫画原作脚本形式で書かれています。ご了承ください。
【主な登場人物】
水松菊彦《みずまつ・きくひこ》
茶髪黒目の高校二年生。本作の主人公。
過去に死にかけたことがあり、それ以来死恐怖症を患っている。また、後述の特異な能力の影響で、自他境界が常人より少し曖昧。
その二つが組み合わさり、特に死に関しては自他境界がほぼ存在しない。他人の死を自分ごとのように捉えてしまう。それ故に、人からかけ離れている虫さえも殺せない。
自らが死にたくない思いと、他者を死なせたくない思いが同居しているため、命のやり取りをする場面では、矛盾した言動を取ることが多い。つまるところ、人格破綻者。
右手の指五本すべてに自他の境界を壊す〝スワンプマンの爪〟を持つ。能力を誤って行使しないように、入浴時以外いつも黒い手袋をつけている。身体能力は高いが、とある障害を持っているため、運動は苦手。騙し騙し日常生活を送っている。
水松なづな
菊彦の妹。黒髪黒目の高校一年生。右目がコンプレックスらしく、常に白い眼帯で隠している。外見も性格も、兄とまったく似ていない。菊彦のことをひどく好いている。
ヴィオレッツァ
天使と呼ばれる上位存在。実年齢は不明だが、十代後半くらいの少女の姿をしている。髪の色は薄青であり、瞳の色は赤。加えて、頭上に光輪がぷかぷか浮いている。ぷかぷか。可愛い。
【スワンプマンの爪】
菊彦の右手に宿る自他の境界を壊す爪。
ここでいう自他の境界とは、自己と他者(他物)を別つ境界線のことを指す。爪で傷つけられ、その境界線を破壊されたモノは、自己と同一の存在という扱いになる。
そのため、モノに自らの性質を分け与えたり、モノの性質を自らに適用したりすることができる。
ただし、唯一の例外としてスワンプマンの爪のチカラを他者に共有・譲渡することはできない(譲渡の仕方については後述する)。
【例】土塊の自他境界を壊す。
この時、土塊と何の性質を共有するか、菊彦は自由に決めることができる。
移動性を共有すると、土塊を自らの意思で自在に動かすことができる。人体の歯の硬性を共有すると、土塊を鈍器へと変化させることができる。
部分的な性質だけでなく、全ての性質を共有することもできるが、受けるダメージも共有することになってしまうため、基本的に非生物相手にそのようなことをするメリットはない。
デメリットとしては、自他境界を破壊する能力のため、心が存在する相手にこの能力を使うと、自らの人格が崩壊してしまう危険性があることが挙げられる。
これを恐れ、菊彦は知的生命体にこの能力を使わないようにしている。
また、モノの外側に傷をつけないと自他の境界を破壊できないため、触れられないモノや硬すぎて傷をつけられないモノには能力を行使できない。
能力の解除は自らの意思で無条件に可能。解除の際に、対象の何かを奪ったり、そして逆に対象に何かを与えたりすることができる。
ちなみに、見た目は何の変哲もない爪。