あらすじ
【幽霊×タイムリープ×失恋回収譚】
「私はね、ナナセのこと、〝助け〟に来たんだ」
大学4年、夏の夜。ストゼロ片手にけらけらと笑う彼女――平田。
2年前に突然いなくなったゲーム友達が、幽霊になって僕の部屋に現れた。
生前は、一度も会ったことなんてないのに。
彼女は僕の記憶を辿り、過去の世界を再現【トレース】する不思議な力を持っていた。
僕に憑依し、心に残り続ける恋の未練と後悔から、あの頃の世界を作り出していく。
幼稚園、小学校、中学校、高校、大学。
初恋。失恋。届かなかった言葉。伝えられなかった想い。
僕は彼女と一緒に、疑似的なタイムリープを繰り返し、
これまで経験してきた恋を、ひとつずつやり直していく。
けれど――
そこで何を選び直しても。どれだけ上手くやり直しても。
現実の過去が変わることは、決してない。
この〝やり直し〟に、意味はあるのだろうか。
過去の恋を辿るたび、僕は少しずつ、あの頃の自分の気持ちを知っていく。
同時に、生きていた頃には知ることのできなかった、平田という人間のことも。
そして、彼女と過ごすほどに、僕は考えるようになる。
彼女はなぜ、僕のもとへ現れたのか。
――どうして、彼女は死んでしまったのか。