あらすじ
「セレスティア・ヴェルネスト。お前との婚約を破棄する」
夜会の大広間、王太子アルヴィスから告げられた婚約破棄。「地味で陰気、機織りごときに没頭する田舎女」と嘲られ、隣では伯爵令嬢が「あなたの布、ちっとも光らないんですもの」と勝ち誇る。
この国が評価するのは、昼に燦然と輝く『昼の魔力光』の織物だけ。だが――前世で日本の伝統織物工房の跡取り娘だったセレスティアには、誰も知らない失われた技術が見えていた。
『月光の織り込み』。
「なお、苦情は受け付けておりませんので」
喚かず、縋らず、涙も見せず。優雅に一礼して去った彼女は、辺境の廃工房へと追放される。だがそこは、遮るもののない月光が降り注ぐ、最高の工房だった。
そして出会う、『冷酷の戦鬼』と噂されながら、子猫を助けようとして床下に挟まる不器用な竜人族の戦士ガルド。彼だけが、彼女を「職人」と呼んだ――。
光らないと侮られた布は、誰よりもあたたかく輝く。月の光を織り込んだ布が、やがて国を揺るがすことに……。
静かに、痛快に。追放された令嬢の「ざまぁ」と、あたたかな出会いの物語。転生×悪役令嬢、短編完結でお届けします。
なお、苦情は、これからも受け付けておりません。