あらすじ
病身の師を守るため、叔父エドガルスの工房で名もなく帆を縫うフォティニ。彼女の一掌十三針の技も、十二枚分の給金も、すべて工房主の手柄にされていた。ところが船主ギンタスは、彼女の帆だけを「針目が粗い」と二度も拒み、なぜか港の封印棚へ残していく。
侮辱の真意に気づいたフォティニは、自筆の原寸寸法帳を抱え、彼に「三度目も買わないと言ってください」と頼む。港中が見守る公開検反で開かれる十二枚の帆、署名入り注文控え、書き換えを許さない港務台帳。消された職人名を取り戻した彼女が、過保護な船主の専属契約にも自ら条件を縫いつけ、仕事も結婚相手も選ぶ側へ立つお話。