あらすじ
「不格好な理屈屋」と呼ばれて実家を離れた硝子職人アグライアは、二人の求婚者を「大泡」「色だけ被せた空瓶」と退け、仕事に生きていた。ところが王室検品官イシュトヴァーンは、彼女が仕上げた緑の杯十二客を調べ、「宮廷には出せません。十二客すべて封じます」と告げる。
失敗作なら割ると言うアグライアを、なぜか彼だけが止めた。そのうえ封印を口実に、兄が古い徒弟契約で彼女の給金も注文も奪おうとする。荷車から自力で逃げ出した彼女が知るのは、同じ検品場面に隠されていた、まったく別の真実。
返品にしか見えなかった封印が職人の腕を守る証拠へ変わり、嫌っていた理屈っぽさも頑固さも、ただ一人に選ばれる理由へ書き換えられていくお話です。