あらすじ
「私、もう、死なないから」この言葉が、わたしの背中を押していたのだと、今、気づいています。
渡辺淳一先生の『阿寒に果つ』を読んだ私は、実在の少女・加清純子さんをエンターテインメントの主人公にしてよかったのかと、疑問を持ちました。雪原に消えた純子さんを、文学サークルではなく、美術部の女生徒として、平成から令和へと続く時代に再び登場させました。
本書の純子は、外からは分からない症状のために、悪質な教師や一部の生徒からのいじめを受けます。 しかし、大震災による津波の被害に心を打たれた純子は、その衝動を作品にすることこそ芸術家の使命なのだと思い立ち、被災地に入る方法として「学生ボランティア」に参加する決意をします。純子を支え続けた『フレンズ募金』の仲間たち、純子が被災地で出会った運命の人、そんな人々と純子が織りなす物語です。
また本作には、現代の美術部の生徒さんたちへのメッセージとして、画家としての姿勢や絵画芸術についてだけでなく、絵の具や制作についても、管見を織り込みました。
本書を手に取ってくださったみなさんに、純子のような症状の方々への理解を深めていただければ幸いです。
加清純子さんが残雪の中から再びあらわれたこの日に、純子さんの御霊に捧げます。
令和8年4月14日