あらすじ
勇者ユリウスに顔が似ているだけの舞台役者、ノア・フェルン。
停戦成立を目前に本物の勇者が死んだ日、ノアは政府から「数十日だけ、勇者として生きてほしい」と頼まれる。死を公表すれば和平が崩れる。役目を終えれば大金を受け取り、今度こそ自分の名前で役者を目指せる――そのはずだった。
ところが、勇者として人々の前に立つほど、ノア自身の判断が「ユリウスの決断」として積み上がっていく。助けられる人が増えるほど、明日も勇者がいることを信じて人生を選ぶ人も増えていく。
本物より上手くやればやるほど、もう役を降りられない。
それでも、自分には保証できない未来まで死者の名前で約束していいのか。
これは、借り物の英雄として世界に必要とされた役者が、誰かに与えられた“勇者役”ではなく、自分の名前で次の一歩を選ぶまでの物語。