あらすじ
トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の実行犯が
逮捕されるニュースが流れるたび、
SNSの片隅で盛り上がる匿名掲示板があった。
集うのは『嘲笑する被害者たち』。
強制されて万引きをした過去を持つ青年・Y。
悪餓鬼たちの溜まり場にされ店を潰された元コンビニ店主・Z。
盗品の持ち込みや万引きに悩まされるショップ経営者・X。
毎夜の爆音爆走に睡眠を奪われ続けるQ。
彼らは法が裁ききれない理不尽な害悪に傷つき、
耐えてきた者たちだ。
彼らは叫ぶ。
「ざまあみろ」
「自業自得だ」
「俺たちの税金で更生させるな」と。
自分たちの手は汚さず、
ただ悪党が身勝手に自滅していく様を嘲笑し、
溜飲を下げる日々。
しかし、ひとりの「闇バイト応募者」の逮捕をきっかけに、
彼らの静かな嘲笑は、
思いもよらない形で現実の事件と交錯し始める――。
被害者の歪んだ痛快さと、
社会のリアルな闇を描く、
痛切な現代群像劇。