あらすじ
『今日だけは、飲まない』
34歳、独身。彼女いない歴=年齢。
仕事はできず、上司からは目の敵にされ、後輩からは陰で笑われる。人付き合いも苦手で、家に帰れば一人。そんな男にとって、酒だけが嫌な現実を忘れさせてくれる唯一の逃げ場所だった。
「今日だけは飲まない」
何度そう決意しても、仕事で嫌なことがあれば酒を飲む。
眠れない夜にも酒を飲む。
寂しい夜にも酒を飲む。
そんなある日、彼の前に一人の女性が現れる。
優しく声をかけてくれた彼女に、34年間恋愛経験のなかった男は、生まれて初めて本気で人を好きになる。
「この人に好かれたい」
その想いから、ダイエットを始め、酒をやめようとする。
やがて二人は恋人になる。
今度は、
「この人とずっと一緒にいたい」
「長生きしたい」
という新しい理由が、主人公を禁酒へと向かわせる。
しかし、酒は簡単には手放せなかった。
やめたい。
痩せたい。
愛する人と生きたい。
死にたくない。
そう願い続けているのに――飲んでしまう。
そして少しずつ蝕まれていく身体。
黄疸、腹水、そして肝硬変。
何度も「最後の一杯」を繰り返した男が、最後に失うものとは。
これは、酒に人生を奪われていく一人の男と、彼を愛した女性の、救いなき恋の物語。
「今日だけは、飲まない」
その“今日”は、最後まで訪れなかった。