あらすじ
少女はトカゲ=コリーニ。
これは育ての親の男爵につけられた名前。
魔核の洗浄を男爵に命じられていたトカゲは、魔核一つ一つに名前をつけながら必死に仕事をこなして生きていた。
産まれた瞬間からの出来事をすべて記憶しているトカゲは知っている。
育ての親の男爵夫妻こそが実の両親だということを。みにくい自分が本当の娘だということを男爵は隠したいのだ。
いつか家族として認めてもらえる日が来る。そう信じて懸命に努力しても、ひどい仕打ちを受けるトカゲの日々は続く。
彼女が最後にすがったのは、8歳の誕生日を迎えた子どもが受ける教会でのスキル判定の儀式。
判定の水晶玉に浮かび上がったのは《これから》という文字。
対象が生まれ持った本当の名前を知り、その名前をつけることで能力を大幅に向上させることのできる《これから》。
それがトカゲのスキルだった。
だが、この希少スキルのことを知る者は誰もいない。
「お前は屋敷から出ていけ。今すぐにだ」
もうトカゲを養う価値は無いと判断した男爵は、トカゲの家名を消し去って屋敷から追い出してしまう。
凍えるほどの寒さの中、路頭に迷う彼女は何者かに捕らえられダンジョンの最深部に連れ去られてしまうのだった。
その頃男爵の屋敷では、王家に納品する魔核に異変が起きていた。
トカゲの家名が消されたことで《これから》の効力も消えてしまったのだ。
すべての魔核が粉になってしまった事実は、男爵の身の破滅を意味していた。
暗い迷宮の奥底でトカゲを揺り起こしたのは、一匹の黒いドラゴン。
ドラゴンに保護されたトカゲは、お礼にドラゴンに名前をつける。
《これから》の力は呪いを打ち破り、ドラゴンは本来の姿を取り戻していた。
ドラゴンはトカゲに約束する。
おまえが奪われたものを、すべて取り戻してやると。
2年後。本来の姿を取り戻し、鍛えあげられた幼女は旅に出る。
みじめに死ぬはずの自分はドラゴンに救ってもらった。
今度は自分が、虐げられている人たちを救う番だ。