あらすじ
「弟キャラに徹しよう」
両親を亡くし、母の親友の家に引き取られた7歳の俺(迅)が決めた、たったひとつのルールがそれだった。2歳上の義姉・玲は、初対面で俺の顔すら見てくれなかった。だったら出しゃばらず、空気を読んで、一歩引いた「できた弟」でいればいい。それがこの家に置いてもらう礼儀だと思っていた。
――なのに、なぜだ。
いじめられていた玲を助け、迷子の玲を夜通し捜し、受験勉強の夜には毎晩お茶を淹れ。「弟だから」を言い訳に積み重ねた10年で、俺は義姉を完全に本気にさせてしまっていたらしい。
幼馴染の颯は最初から気づいていた。母の冬子も気づいていた。玲本人は、とっくに限界だった。
気づいていないのは、この世でただ1人、俺だけ。
「迅、あんた『弟』のつもりで、玲ちゃんを本気にさせてるの、気づいてる?」
血の繋がらない姉弟が、本当の家族になるまでの、少し不器用な10年間。