あらすじ
魔法が才能を決める世界。
十五歳の少年アレン・クロイスが王立魔法学院の入学試験で叩き出した数字は――まさかの「魔力量ゼロ」だった。
当然、魔法は一つも使えない。
火球も撃てない。水の一滴すら生み出せない。
それでもアレンには、誰にも負けないものがあった。
魔法を見て、考えること。
なぜ炎はその形になる?
なぜ雷はそこへ落ちる?
なぜ同じ術式なのに、成功する者と失敗する者がいる?
魔法を使えないからこそ、アレンは魔法使いたちが感覚で済ませてきた部分を観察する。
やがて彼は気づき始める。
どれほど強力な魔法にも、成立するための「条件」がある。
なら――魔法より強い魔法を撃つ必要なんてない。
成立する前に、その条件を崩せばいい。
炎の天才。
制御不能の雷。
魔法罠。
幻影魔法。
魔力ゼロの落第生が、観察と推理だけを武器に天才魔法使いたちへ挑んでいく。
だが学院の地下で発生した不可解な《黒い炎》をきっかけに、アレンはやがて、この世界の魔法そのものに隠された秘密へ踏み込むことになる。
これは魔法を使えない少年が――最後まで魔法を使わないまま、魔法の常識をひっくり返す物語。