あらすじ
魔都上海、うだるような夏。
祓士カナタと緋(フェイ)のもとへ、阿片窟を任されているという男が奇妙な依頼を持ち込んだ。
「客が一人死んだ」
「それで?」
「そいつが今も大煙を吸っている」
息も脈もなく、身体は冷たい。それでも男は起き上がり、阿片を求め続ける。
それだけなら、ただの死人返りだった。
だが男は、燃える。
水をかけても消えない炎に焼かれ、骨だけになり、翌朝には元の姿へ戻っている。そしてまた「あつい」と繰り返す。
やがてカナタたちは、同じように燃える死者が一人ではないことを知る。
火傷の痕。阿片。過去の大火災。
そして、死者から死者へ引き継がれていく「あつい」という声。
燃えているのは身体か。
それとも、記憶なのか。
魔都上海の底で、忘れ去られた死者たちの「あつい」が蘇る。
『越久の渡祓士』外伝。