あらすじ
宝条家の長女・梢は「無能」と蔑まれ、家族から疎まれていた。
ある日、宝条家に舞い込んだ縁談。特異な異能を持つ妹の身代わりとして梢が差し出された先は、『呪いの狂犬』と恐れられる軍人・煌仁のもと。
触れればその身を焼き、抱かれれば命を吸われる。
冷酷無慈悲と噂される男との婚姻──それは、誰もが避けたがる死地への輿入れだった。
そして、初めて煌仁と対面した日。
震える梢の指先からこぼれたのは、無能の証だったはずの蝶の光。なぜかそれは、煌仁を蝕む呪いの痣を鎮めていった。
心を閉ざした孤高の軍人と、誰にも必要とされなかった身代わり花嫁。
冷たいはずだった二人の日々に、梢の小さな気遣いと煌仁の不器用な優しさが、少しずつ温もりを灯していく。