あらすじ
大魔導士が、密室で死んだ。
血命結界は破られた形跡なし。魔力の異常も、検知呪文には一切引っかからない。誰もが「魔法による死」だと思い込み、事件は静かに、事故として処理されかけていた。
そこへ現れたのは、干し葡萄を頬張りながら欠伸を噛み殺す、風変わりな特別捜査官・リン。眠たげな目の奥に、獲物を見つけた猫のような光を宿し、彼女はぽつりと呟く。
「退屈な自然死が、ちょっとだけ面白い他殺に見えてきました」
犯人は、すでに物語の中にいる。読者は最初から、その正体を知っている。
密室に隠されていたのは魔法ではなく、故郷への断ち切れない郷愁と、完璧という名の仮面――。「証拠がない」はずの完全犯罪が、犯人自身のたった一言の"喋りすぎ"によって、静かに崩れていく。
名作。『古畑任三郎』に着想を得た、魔法異世界ファンタジー×倒叙ミステリー。気だるげな捜査官と、優等生の仮面を被った犯人の、洒落た言葉の応酬をお楽しみください。