あらすじ
接ぎ木の失敗を押しつけられ、「実らない嫁」と二度も査定されたイリンカ。だが彼女が数えるのは悪口ではなく、病弱な当主ヤーニスが林檎麦粥を食べた回数だった。三口で匙を落とすなら、反論より先に粥を温め、割れた指を洗い、眠れる寝床を整えたい。
名札が交換されたことを承知で傷んだ一区画を残した彼女は、三度目の公式検分を待つ。やがて一椀を空にできるまで回復したヤーニスは、伯母の用意した椅子を石床に鳴らして退け、自分の足で果樹園へ向かい――。
嫁候補と当主、世話する者と守られる者。互いの仕事と毎朝の行動を証拠に、二人が生活の相手を見つけ直す、林檎粥から始まる関係コメディ。