あらすじ
この世界の魔法は、精霊から借りるものだ。
炎も、治癒も、人智を超えた奇跡も――すべては精霊との契約によって貸し与えられる。
だが、人間たちは知らない。
その本当の代償が、寿命、才能、家族、平穏な老後……まだ訪れていない「未来の可能性」であることを。
ラドは、裏社会で借金を取り立てて生きてきた少年。
ある日彼が出会ったのは、人と精霊の契約を裁く《契約審判》サイラと、契約を断つ神器だった。
魔法で街を守る英雄。
祭りに奇跡をもたらす楽器。
人々の暮らしを支える便利な力。
恵みにしか見えない魔法の裏で、精霊との契約は時に、人間自身も知らない未来を担保として奪っていく。
借りたものなら返せばいい。
だが、知らされてもいないものまで持っていくのは話が違う。
元取立屋のラドと契約審判サイラ。
二人は各地を巡り、魔法の裏に隠された契約と、その「取り分」を確かめていく。
これは、魔法を奪う物語ではない。
奪われすぎたものを、取り立て返す物語だ。