あらすじ
共同牧場で十八頭の乳牛を任され、搾乳から乾酪の熟成管理まで担うデスピナ。けれど叔父ボグダンは、彼女を来客向けの「牛舎の飾り」と笑い、その乳量も生産実績も自分の名義へ付け替えていた。このままでは王都との契約が切れ、二十世帯が職を失う。デスピナは、空腹と不眠で右手を震わせる監査官ラズヴァンへ乳粥と眠りを取り戻させ、受取簿、搾乳簿、熟成札を一卓へそろえる。そして働き手、乾酪商、公証人の前で、叔父自身に数量の差と金の行方を説明させることに。消された生産者名を公の記録へ戻し、仕事まで取り上げようとする過保護な監査官には書面で境界を引く、牧場娘の名誉回復のお話。